中堅エンジニア時代~忍び寄る現実~
入社して数年経ち、
私は中堅エンジニアと言っていいほどの技術を身に着けていました。
製品チーム内でも重要なブロックを一任されるほどの信頼も得ており、
充実したエンジニア生活を送っていました。
しかし、ある異変も感じていました。
開発した製品の売上状況について
ミーティングで報告される時があったのですが、
徐々に下がっているようであり、どうも芳しくない・・・
新しい製品を開発する時も第一目標はとにかく原価低減。
目立った新規技術も無いローコスト版。
『なんかおかしいぞ・・・これで他社に勝てるのか?』
そんなことを私も感じていたのですが、実際の状況はもっと酷かったようです。
それまでは私の担当していた製品はあるカテゴリにおいて
圧倒的なシェアを誇っていたのですが、
他社に技術的に徐々に追いつかれ、負けてしまう寸前の状態でした。
そんな状況でマーケティングチームの出した方針は
『コストを抑え、価格で勝負!』でした。
しかし、その後、他社に技術的にも決定打となる製品を出されてしまい、
私がいたチームはその分野から徹底を余儀なくされました。
それまで私は深夜、
それこそ日付が変わってからも仕事をし続ける毎日を送っていました。
でも、頑張ったとしても価値のあるものを作らないと、
使ってもらえないということについて知らしめられました。
『価値のあるコトに対して、エネルギーを注ぐ』
今になって振り返るとそれが重要だったと思います。
その後、私が担当していた製品だけでなく、
会社としても徐々に売上が下がっていきました。
M&Aを行い会社名が変わったり、
分野の撤退やある部門の分社化もしましたが、
効果が無く、状況が好転することはありませんでした。
そして、ついに会社は禁断の決断をすることになります。
そうです。
リストラです。
ある一定の年代以上に対し、リストラの勧告がなされました。
徐々に周りの年配の方々が消えていきました。
お世話になった先輩や上司も会社を去っていきました・・・
そんな中でも私は製品開発を続けていましたが、
以前経験した撤退以降、感じていたことがありました。
『自分は本当に価値のあるモノを作っているのだろうか?』
『単に叩き売りされるようなモノを作っていないか?』
『本当に自分の人生をかける仕事をしているのか?』
会社の状況に加え、そんな疑問を抱えるようになり、
私のモチベーションも徐々に下がっていきました。
それに合わせて、さらに私のモチベーションを下げることが発生します。
会社の雰囲気が悪くなっていき、
部署間やチーム間で罵り合いや揉めることが多くなっていったのですが、
ついには同じ部署内でも罵り合いや暴言を聞くようになっていきました。
間接的に自分への批判をわざと聞こえるように言う輩もいました。
『何のためにこの仕事をしているのか?』
私は仕事の意味が見いだせず、心が折れる寸前でした・・・